日本共産党区議団を代表して、
ただいま上程されました第83号議案令和5年度大田区一般会計補正予算第4次、並びに編成替えの動議に賛成し、
第84号議案、大田区行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する条例の一部を改正する条例に反対の討論を行います。
第83号議案令和5年度大田区一般会計補正予算第4次は、異常な物価高騰対策として、区民の暮らしと、福祉・運輸事業者を守るための補正予算で、地方創生臨時交付金を財源とし、補正額は60億549万6千円となります。
福祉費では、住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金給付事業は1世帯あたり、7万円で7万7400世帯に支給するというものですが、物価高騰の中困窮している世帯へ一刻も早く届くよう要望します。
また、障害福祉サービス、介護事業者、介護福祉施設サービス事業、通所介護事業、保育施設運営費補助事業の支援事業は食料品はじめ異常な物価高騰、さらには新型コロナ感染症、インフルエンザ等の感染症の対応、人出不足などで大変苦労している事業者支援としては規模が小さいですが、対象事業者にもれなく届くよう要望します。
産業経済費において、運送事業者支援事業1億5510万円は、区内運輸業の事業者への直接支援となり、「すべての経費が高騰しており、経営が困難を極めている」「ドライバー不足は深刻、このままではものが運べなくなる」との声にこたえるもので評価できますが、支援額は小さいのは否めません。運転手不足がさらに加速するといわれている2024年問題解決のためには不十分であり、継続的でさらなる支援を国や東京都に求めることを要望します。
本日報道されていますが、厚生労働省が発表した「毎月勤労統計調査」によりますと、10月に労働者の受け取った名目賃金を示す現金給与の総額は平均27万9172円で去年の同月と比べて1・5%増えましたが、物価の変動分を反映した実質賃金は2・3%減りました。19か月連続のマイナスです。厚労省は「物価の伸びに賃金上昇が追い付かない状況が続いている。今後の続いていく可能性がある。」としています。実質賃金が上がらない中、異常な物価高騰が続いる中、区民の暮らしを守る区独自の支援施策が必要であることを重ねて述べておきます。
次に、日本共産党区議団の提出した編成替えを求める動議に賛成します。
産業経済費のものづくり経営革新緊急助成事業のための増額は、製造業への支援のためのものです。大田区の景況で製造業のコメントにありました「先行きに明るい兆しが全く見いだせない」などという本当に厳しい事態打開につながります。1事業者あたり50万円、支援コーディネーター、上限5万円は、平成21年、22年度の補正予算で実施されました。利用した事業者からの評価は委員会でも説明されていますが、「鋼材をカットする機械をなおして効率が上がって本当に助かった」「仕事が出て廃業の瀬戸際から脱出した」などで、区の対応、や担当者が好意的だったなどの高い評価がありました。総務財政委員会にて同様の動議を提出したところ反対の意見で「唐突な直接支援はいかがなものか」との意見がありましたが、第4次補正予算のすべては直接支援となっています。また、国や東京都に同様の助成事業があるとのご意見がありましたが、大田区の3人以下が約5割である製造業の実態に即した緊急支援が必要です。以上動議に賛成の討論とします。
次に第84号議案、大田区行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する条例の一部を改正する条例に反対の討論を行います。
国会で5月27日可決された法改正によるものです。厚生労働者は6月9日公布しました。この法改正の大きな問題点は現行の健康保険証を廃止し、申請交付であるマイナンバーカードなどに切り替えるもので、申告漏れや遅れから国民皆保険の根幹をゆるがすものです。また、行政分野のマイナンバーカードの利用範囲の拡大で、プライバシー侵害の危険性が一層高まる恐れが明らかになりました。また、年金受給口座を利用者本人から「不同意」の回答がなければ自動的にマイナンバーから紐づける特例なども盛り込まれました。委員会の質疑において、本条例改正によって、急に給付金を支給する際も情報連携によって、時短できるとの説明がありましたが、「利便性が向上する」半面、情報の量が多くなればなるほど漏洩の危険は免れません。
そもそもマイナンバーカードは任意です。普及が進まなかったので多額な税金を投入してポイントを付加するなどしています。また、マイナ保険証の導入の現状は、医療機関で使用されているのは4%程度と報道されています。間違った紐づけなどが後を絶たず患者さんの命にかかわると批判が絶えないからです。なお、委員会の質疑において、先日発生した区のシステムトラブルにおいて「マイナンバーカードでコンビニ申請ができたことをもっと区民に知らせて、宣伝したらどうか」といったご意見がありましたが、転出・転入など異動のあった方の処理は復旧までできませんでした。また、障害のあるかたなどカードを取得できない方は便利にはならず、カードをなくした場合の危険性や、パスワードを忘れてしまった場合の手続きの煩雑さなど十分に知らされていません。
マイナンバーカードによる個人情報にかかわるトラブル、偽造などの問題が後を絶たず、区民の不安は払しょくされておりません。国会において反対の声が大きかった法改正による条例の改正には反対します