陳情・請願の多くが、不採択となりましたが、日本共産党区議団は採択をもとめました。

  • 2024年11月11日
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大田区議会第3回定例議会に提出された区民からの陳情・請願の採択を求める討論は以下の通りです。

6第38号保育士の処遇、及び保育環境の改善に関する請願は、保護者と子どもたち、双方のすこやかな環境づくりのために、保育者の処遇改善、および保育環境改善のための費用拡充を求めています。

 理事者の見解では、「国は公定価格を毎年見直し保育士の賃金を引き上げてきた」「国の配置基準を上回る配置を実施している」「区の法外援護費も昨年は89億円を支出し対応してきた」と述べています。しかし、2023年度の人事院勧告に基づいた賃上げは5.2%引き上げられたが、保育士の平均給与は384万円と国内平均給与の458万円から71万円も低い位置にあり、保育士不足が進んでいます。2023年度の保育施設における指導検査に於いて、保育士の配置が早番や遅番時に配置基準を下回っている事例が指摘されています。

このような中、今年(2024年)4月より「保育士応援手当」の内容が変更され、経験年月数が5年以上の保育士は、毎年12万円の手当から、10年以降、5年ごとに一時金10万円が支給されるのみとなりました。待機児がゼロになったという理由での見直しにより、現場で働く保育士や園長先生からは、保育士の他区への流出も始まっていると悲鳴の声が上がっています。保育士応援手当をもとに戻すことや民間給与動向を踏まえたさらなる本給の改善、処遇改善が必要です。保育環境全体の改善のためには、20年間見直しがされていない「区の法外援護費」を増額し、質の高い保育が営めるよう、保育士の増員や施設の環境整備の充実が必要であり、本請願の採択を求めます。

6第39号は大田区の災害備蓄の拡充を求めるものです。

陳情者は、避難所の災害用備蓄品が全く足りないこと、また避難所近隣の倉庫にその他の備蓄品が保管してあっても、災害時に道路の分断などで運搬ができない恐れもあるため、避難所自体の備蓄を増やすことを求めています。

理事者からは、学校備蓄倉庫だけでなく、地区備蓄倉庫や京浜島備蓄倉庫などがあり、非常用物資は足りているとのこと、また、委員会報告では、都や国からの支援物資などを運ぶために民間事業者と連携協定を結び、避難物資輸送の訓練も行うことなど報告され、区が災害時に区民の命とくらしを守るために、様々な努力をされていることはわかりました。しかし、人道憲章と人道対応に関する最低基準=スフィア基準、これは例えば、避難所のスペースは一人当たり最低3.5㎡確保することやトイレは最低20人につき1つ設置などの基準が示されていますが、このスフィア基準の「被災者には尊厳ある生活を営む権利があることや、実行可能なあらゆる手段が尽くされるべきである」という理念が世界に広がり、内閣府が出す「避難所運営ガイドライン」でも、海外からの支援者が東日本大震災の時の避難所の生活環境を見て、国際的な難民支援基準を下回っているという指摘を受けたことを重く受け止めなければならないと言い、避難所生活の質の向上を求めています。また、災害時の避難所生活の中での度重なる性被害やプライバシーの侵害が問題視されている中で、被災者の人権が守られるような避難所としていくために必要な物資を増やすことは、陳情者のみならず区民にとって大きな願いです。

また、残念なことに、委員会の中で、この陳情に対して「自助・共助のことを何も考えていない」かのような批判が出されました。そして、自助・共助に努力しないものが公助について要求することは問題だとの主張で不採択を主張した会派がありました。しかし、地方自治体は、住民の命とくらしを守るために自助や共助を呼び掛けることはあっても、その最も大事な仕事は、住民の声を聞いて公助の仕組みをしっかりと作り上げることではないでしょうか。

そして、わが党区議団は今回の代表質問で、災害時の備蓄品などが不足している状態の中、2023年度途中に20億円を基金に積み立てるのではなく、もっと必要な災害対策に充てるべきだということを述べさせていただきました。よって、本陳情の採択を求めます。

6第43号は、 区立小・中学校のトイレ個室に生理用品の設置を求める陳情です。

本陳情は、大田区でも、児童・生徒が安心して学習に集中でき、健康で衛生的な学習環境が保障されるよう、生理用品を区立小・中学校のトイレ個室に、トイレットペーパー同様に位置づけ設置してください。と求めています。

 討論で不採択とした理由は、「保健室に配置し、養護教諭が直接手渡すことで、家庭環境の把握・貧困の把握ができ、学校関係者や福祉に繋げ救済することができる。」「トイレに置いたのでは誰が使用したかが把握できないから」などでした。貧困対策は重要でが、この陳情は児童・生徒が安心して学習に集中できる権利を確立させることを求めるものです。

 すでに、23区中18区の小・中学校で、トイレ個室に生理用品の配置を行っています。陳情者が行った「みんなの生理事情アンケート」からは「困ったときには他人の目を気にせずに手に取れるよう」トイレ個室に生理用品の配置を望む声はとても多く、その必要性を強く感じたとあります。生理は心も体も健康であることの権利、人権でもあります。リプロダクティブ・ヘルス&ライツ「性と生殖に関する健康と権利」の視点で取り組むことが必要です。誰もが安心して学校生活が送れるようにするために、本陳情の採択を求めます。

6第44号、住みやすい住環境をもとめる陳情の趣旨は、大田区はものづくりの街として発展してきましたが、その工場が廃業や移転で空き地になると、その跡地に住宅の建設が進み、土地購入者の考えで戸建てなのか、集合住宅なのか決まってしまうため、中には調和の取れない建物が建設される場合があり、区は地域の街並みに合わせた建物の高さ制限を設ける制度を実現してほしいという内容です。

陳情に反対する主な意見は、理事者見解の「土地の活用については、都市計画のまちづくりやその土地に合わせた都市計画法、建築基準法など様々な法の制度がある」などを理由に、「多角的に考えるべき」「土地所有者から見ると資産価値に影響がある。」「都市計画法などに基づき行政主導で進めることが肝要である」などでした。「大田区都市計画マスタープラン」は、安全・安心な生活の実現を掲げていますが、実際には戸建ての中に大きなビルができるなど、環境悪化の問題安全・安心が守られていないのが現状です。よって、陳情者の趣旨に賛同し採択を求めます。

6第46号は、 新飛行ルートの指定地域の見直しで空港周辺地域の拡充を東京都に求めてほしいと願う陳情です。

陳情者は2020年3月29日より運用された羽田空港の新ルートにより、B滑走路西向き離陸が発生し、騒音の状況も変化してきている。神奈川県では指定地域の見直し案も出されているので、東京都においても、騒音被害への指定地域の見直しを行い、空港周辺の指定地域を拡充することを大田区から東京都に求めてほしいと願っています。

 委員会では、国は2022年8月の「第5回羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会」開催以降の進展が見られないが、東京都は航空機騒音の環境基準地域類型指定区域の見直し作業を行っていること、また、東京都も国の固定化回避の状況に応じて見直し区域が変更することから、過渡期(かとき)であり、その動向を見守る必要があるため不採択としました。しかし、「東京都の航空機騒音の環境基準地域類型指定区域の見直し作業を行っている」ことは、陳情者の趣旨に沿うものですから、不採択にすべきではありません。羽田空港近辺にお住いの方々は、羽田空港の新ルートが運用され4年半が経過し、騒音に悩まされ続けています。国に対して早急に固定化回避にかかる技術的検討会の結論を出し、都の見直し作業が進むよう求めるべきです。よって本陳情の採択を求めます。

陳情6第49号は、当面、現行の健康保険証とマイナ保険証の両立を国に求める意見書の提出を求める陳情です。陳情者はマイナンバーカードの取得は任意なのに、事実上はマイナンバーを取得し健康保険証との紐づけを義務付けしていることは大きな問題である。また、医療現場でのトラブルや閉院が増えていることに区民の生活と健康に大きな問題が生じかねないとしています。委員会では「有効期限が1年以上あるはずだ」「資格確認書があるから大丈夫だ」「トラブルはない」「マイナンバーカードは便利だ」などの意見で不採択となりました。しかし、現行の保険証の有効期限は保険者で異なり、中には来年3月で有効期限が切れる保険証もあります。トラブルが続く中で現行の健康保険証を廃止するのは、あまりにも拙速(せっそく)です。また、資格確認書の発行などの事務量の増大は保険者に大きな負担を与えています。全国保険医団体連合会(保団連)は、2024年5月以降に全国の7割の医療機関で「マイナ保険証」にかかわるトラブルが起きているとの調査結果を公表しました。いったん窓口で患者負担10割を請求した事例は9・4%でした。また、「マイナ保険証の有効期限切れ」は20%でした。電子証明書の5年の有効期限切れに気づかず、更新手続きをしないまま医療機関を受診し、資格確認できない事例が起き始めており、今後急増が懸念されます。

保団連会長は「トラブルが生じても現行の保険証が併用されていれば10割を請求される無保険扱いは解決する。国民皆保険を守るために政府は一刻も早く保険証を残す決断をすべきだ」と強調しています。国に現行の保険証とマイナ保険証の両立を求める意見書を提出することを求める本陳情の採択を求めます。

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