以下反対討論の全文です。長いですがぜひお読みください。
日本共産党区議団を代表して、第104号議案2024年度大田区一般会計歳入歳出決算、認定に反対の討論を行います。
第104号2024年度大田区一般会計歳入歳出決算は、鈴木区長が初めて編成した予算の決算です。一般会計歳入総額は3369億1921万円、歳出総額3324億3989万円、歳入歳出差引き額は44億7932万円となり、歳入歳出差引き額から繰越金を引いた実質収支は1億5465万円です。不用額は130億6331万円余です。
2024年度予算は、「新しいおおたの次代への架け橋となる予算~SDGs未来都市としての挑戦~」と位置づけ過去最大規模の予算となり
「区立小中学校の学校給食費の無償化の継続」、「出産・子育て応援事業の拡充・産後家事・育児援助事業の拡充・乳幼児ショートステイ事業など出産・子育ての充実」、「特別支援教育の充実」、「高齢者インフルエンザワクチン予防接種費用助成事業」、「帯状疱疹ワクチン接種費用助成」、「高齢者補聴器購入費助成の拡充」、「福祉人材確保奨学金制度の拡充」、「住宅リフォーム助成の拡充」、「原油価格・物価高騰対策資金の設置」、「感震ブレーカーの支給取付け事業の拡充」、「新耐震基準で建てられた木造住宅の耐震診断費用の一部助成」、「区施設の公衆無線LANの設置増設」など、区民の声や党区議団の提案に応えたものであり、評価します。
しかし、認定に反対する第1の理由は、区民が切実に願う物価高騰から区民の暮らし、営業を守る対策が不十分だったことです。
2024年度は、異常な円安によることに食料品の物価高騰が一層深刻になり電気やガス料金をはじめあらゆる生活必需品が急騰し、生活・営業がより深刻になった年でした。
しかし、2024年度最終の第5次補正で、財政基金44億円取り崩す予定をやめ、防災対策基金20億円、公共施設整備資金積立基金20億円を将来のためと積み増しました。そもそも基金は計画的に当初予算にて組むべきです。
これらの合計約84億円を活用すれば、区民の期待に応える緊急事業を行うことはできたはずですが、それをせず積立てをし、その結果、決算では実質収支額は1・5億円で、2024年度の財政は大変厳しかったとしています。
区は物価高対策について、区民向けには、給食費の無償化、デジタル商品券、融資あっせん、資金、工事費の増を重層的に行うとしました。国・都の施策は施行しました。しかし、異常な物価高騰により区民のくらし、事業者の経営は大変厳しく、党区議団は他自治体で実施されていたような区独自の物価高騰対策を提案しました。区長は「物価高騰対策の2024年度事業費は184億円にのぼり、その時々に必要な対策を重層的に講じてきた」の答弁がありましたが、補正予算の多くが国・都からの事業であり、区独自の物価高騰対策は融資、利子補給のみで、は不十分でした。
区民と約束した予算が執行できなかった不用額は約130億6330万円でした。2024年1月1日能登半島地震が発生し、激甚水害も頻発し防災対策に対する不安の声が寄せられていましたが、防災に係る施策で多くの不用額をだしたことや執行率がやや低かったことに課題があります。都市整備費では耐震改修促進事業不用額4億8712万円でした。災害時相互支援体制の整備は執行率39・96%で、
災害時個別避難計画作成については、対象は15700人ですが、2024年度は優先度の高い人1000人としましたが、結果は237件と不充分でした。
反対する第2の理由は、事務事業の見直しで区民施策の削減と負担増を進めたことです。区は2024年度予算編成の基本方針として事務事業の成果向上とコスト精査を図るとともに優先順位付けの徹底、寄与度の低い事業は廃止、休止を含め見直し、再構築を行い、経営資源を生み出すことなどを掲げていました。そして区独自の施策であった保育士応援手当を縮小しました。決算では実施者数は1401人となっており、2023年度の5565人の約4分の1の保育士にしか支給されませんでした。施策の成果では、「保育人材の確保、保育の質の向上」が行われたと評価していますが、区内私立認可保育園の現場からの声は全く違います。人手不足と、保育士確保に人材派遣の事業者へ多額の費用が発生して大きな負担を被っているとのことです。代表質問で復活を求めましたが、「予定はない」との答弁でしたが、保育現場では「現場を知ってほしい」と、到底理解されていません。また、88歳の長寿祝金事業は3000円の商品券の贈呈を廃止し、区長のメッセージを送る事業になりました。区長は、「寿祝金、夏季区営プール利用引換券事業については、今後の区を取り巻く高齢者の状況や国民健康保険事業の在り方等を総合的に勘案し、廃止したものであり、その分をより必要性の高い事業へ資源を投下し、施策の新陳代謝を図っております」と発言されましたが、区民から理解は得られず「残念だ」の声が上がっています。
反対の第3の理由は、新空港線「蒲蒲線」事業を進めてきたことです。決算では新空港線の整備主体、羽田エアポートライン株式会社への出資金として1億2200万円、新空港線第二期整備調査検討業務委託等として979万円余など整備促進事業に1億3185万円余、そして新空港線整備及びまちづくり資金積立基金積立金約10億円を新たに積み立て、基金は107億4771万円余となりました。区は新空港線計画の経済波及効果を10年間で5700億円などと発表しました。マスコミ等も大きく報道しました。しかし、黒塗りの開示請求の資料から見えてきたのは、蒲田駅前、京急蒲田駅周辺の街づくり市街地再開発に係る費用が含まれていることでした。市街地再開発は京急蒲田駅、糀谷駅で行われてきたように、住み続けられない、商売を続けられない区民を多く生み出してきました。区民にとって効果があると言えるでしょうか。
本年10月3日整備主体となる羽田エアポートライン(株)と営業主体となる東急電鉄(株)が協議し、作成した「速達性向上計画」が大臣認定されました。認定申請書一式を関東陸運局に開示請求した資料を提供していただきました。そこには新空港線事業第1期整備の費用便益比が1・5となっていました。これまで2・0で議会にも区民にも報告されてきました。費用便益比が変化すると、例えば収支が黒字に転換するまでの年数が変わります。しめくくり質疑において費用便益比2・0としていたのを1・5に変更したのかの党区議団の質問に、区は答弁を避けました。新空港線整備事業に関わる重大な変更であるのに変更内容の説明を議会でまともに行なわない、行えないことは異常でありずさんな計画と言わざるを得ません。総事業費約1360億円についても物価高騰からさらに増額となるのではないか、どれだけの財政投入になるかについても明らかになっていません。区民に説明責任を果たさず、大きな区民犠牲を伴う新空港線整備計画及び沿線まちづくり構想の白紙撤回を求めます。
反対の第4の理由は、デジタル化を一層進め公民連携と正規職員削減を進めていることです。
区自ら会計年度職員の活用、委託や指定管理職員の身分が不安定で最低賃金すれすれの官製ワーキングプアを大量に生み出しています。短時間勤務会計年度任用職員数は1668人(2023年1575人)と増加し、職員定員数は4135人だが、現員数は3936人でした。区は「現員数を増やすことは極めて厳しい」「効率的な組織運営が求められている」として、事業計画等も民間委託で事業者に丸投げになっています。しかし、この間の公共工事の相次ぐ問題、選挙管理事務局の不正事件、また、大雨などの災害時の対応など、職員の技術の継承や高度な課題への対応するためには正規職員の増員育成が必要です。。+
また、デジタル化の推進で効率化を図るとしていますが、公共のサービスの多くは区民と直接接して行う業務であり、区民ニーズにこたえるために、窓口業務等行政サービスのオンライン化による職員削減の見直しを求めます。
さらに、2022年1月改定の公民連携基本指針では、行政と民間企業等が協働で公共サービスの提供を行うなどとしています。しかしテクノスクエア羽田、羽田イノベーションシティ、パークPFIの手法を用いる羽田空港跡地第1ゾーンでの都市計画公園など自治体の責任放棄と民間大企業の利益追求となっており、見直す事を求めます。